旅のライブ情報誌 「Please(プリーズ)」7月号
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201「阿蘭陀船入津ノ図」 大和屋版 19世紀(江戸時代)。オランダ船は毎年夏に、季節風にのって長崎に来航した。後方の船は合図の祝砲を鳴らしている。 2「紅毛人遠見之図」(部分) 版元無記 18~19世紀(江戸時代)。 商館長(カピタン)はクレーパイプを吹かしている。 浮世絵版画と言えば、北斎の富嶽三十六景、広重の東海道五十三次、歌麿や写楽の美人や役者…といった江戸の作品が真っ先に思い浮かぶ。しかし、江戸から遠く離れた九州・長崎でも、個性豊かな浮世絵版画が華開いていたのをご存知だろうか。ビードロやべっ甲細工などと並び、旅人を魅了した「長崎版画」がそれである。 蘭学者で絵師の司馬江漢(1747〜1818年)は、著書『西遊日記』中で長崎の店先でオランダ船などを描いた版画を見たと述べている。『解体新書』を著した杉田玄白の弟子である大槻玄沢(1757〜1827年)も、蘭学を学ぶかたわら長崎版画を手に入れたという。 長崎版画は、その名の通り全てがメイドイン長崎。江戸時代の長崎市内に点在した、小さいながらも個性あふれる版元が、版下絵の制作から彫り、摺り、販売までを一挙に手掛けた。描かれたのは、入港する唐船やオランダ船をは長崎版画とは?お らん だ せんにゅうしんのずこうもうじんとお み の ずおお つき げん たくすし ば こう かん板橋区立美術館文=植松有希Text by Yuki Uematsu浮世絵版画は江戸だけではない!江戸時代の長崎で生まれた、エキゾチックな「長崎版画」の世界へようこそ。12

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